読売新聞 平成28年<2016年>3月14日


宗教越え平和の願いの継承
長崎ひとだより
県宗教者懇話会長 神崎正弘さん 74歳 (長崎市)

読売新聞掲載


40年以上にわたり、毎年8月8日に宗教を越えた原爆殉難者慰霊祭を営み続けている「県宗教者懇話会」。 今年1月、4代目の会長に就いた。「被爆80年、100年の世の中でも、核兵器が二度と使われてはならないということを 祈り続けるための土台作りをしていきたい」と語る。
自身が住職を務める長崎市緑町の真宗大谷派法生寺は、爆心地から約1.1キロの場所にある。原爆投下で当時の住職が 亡くなり島原半島で別の寺を守っていた父・正年さん(故人)が法生寺を引き継いだ。
家族で移り住み、原爆で多くの児童が犠牲になった山里小に転入。近くの川や公園で遊んでいると、被爆者の ものとみられる骨を見つけることがあった。両親を亡くした友達やがれきの中で生活をする人もいた。 寺に犠牲者の無縁仏の遺骨が持ち込まれたときには悲惨さが身にしみた。
懇話会には1983年から加わり、これまで専務理事を務めてきた。会長就任はずっと固辞してきたが、3代目の 野下千年神父が体調不良で退く際、「先達が積み重ねてきたものを、後輩たちにつなげる役目を果たしたい」と決意した。
「宗教同士がいがみ合うことなく、協力し合えるのは長崎独自のこと。国内外にも広げたい」
これまでにも交流がなかった海外のイスラム教やユダヤ教の信者を慰霊祭に招くなどしてきたが 、さらなる平和への発信への思いは強い。会長就任を機に、原爆を投下した米国でも慰霊の取り組みをすることを 考えている。
「本来、核兵器を使うことは「ノーモア」もう二度とではなく、「ネバー」決してでなければならない。 立場や宗教が違っていても、みんなで平和を念ずる気持を次世代に伝えたい」(南 佳子)